(第−10号)

ふぉとこみ通信

初めてのプロポ−ズ

実はカミさんに内緒ですが、昔ある娘にプロポ−ズをした事が有ります。
それも飛びっきり若い娘にです!
小学校2年生の時、僕は隣に座っているM絵里奈ちゃんに恋をしました。
さすがにトメとかハツと言う名前の子は居ませんでしたが、当事の主流は正子、由里子、和子など○○子でした。
そんな中絵里奈と言う名前は...そうです外国人の名前なんでス!
小さくてチョット色が黒く、とても可愛い子でした。

当事の腕白坊主が女の子へ愛情表現をするには、だいたい前席に座っている女の子の髪を引っ張る事でした。(好きな女の子ほど悪さをしたものです!)
ただ困ったのは絵里奈ちゃんが僕の席の隣だった事です。
髪を引っ張るには彼女の後ろ肩に手を伸ばさなくてはならなかったのですが、運悪く後ろの席には米屋の弓子と洗梁屋の百合子が仲良く座っています。
これが困った事に、この二人の帰り路の途中に僕の家が有ったのです。

この二人は帰宅途中必ず僕の家の前で仲良く並んでTHEピ−ナッツの如く見事にハモって「吉田君チのオバサ〜ン」から始まり...
吉田君が女の子の背中にイモ虫を入れたとか...

“”先生に叱られて廊下に立たされたとか...毎日定時報告をするのです。
ある時は机の奥に隠しておいた0点の試験用紙を勝手に引っ張り出し、おふくろに絶対的な証拠として手渡す次第!
この二人が後ろの席に居るのですから、絵里奈ちゃんの髪を引っ張るのは正に命がけに等しい行為でした。
二人に見つからない様に見事絵里奈ちゃんの髪を引っ張った時、絵里奈ちゃんは怒らないで「だめヨ、そんなことしちゃ..」と、言った感じでニッコリ笑うのでした。
そうです後ろの二人とは人種が違うのです!!
僕は益々絵里奈ちゃんが好きになって行くのでした。

ある日先生が黒板を背にして絵里奈ちゃんが「お父さんの仕事の都合で北海道に引っ越す」と衝撃的な発表をしました!
どうしよう...!絵里奈ちゃんが居なくなっちゃう。

ろくに漢字で自分の氏名も書けない頭をオーバーヒートさせながら、絵里奈ちゃんと別 れなくて良い方法を考えたのです。
テレビ番組か何かで見たのでしょうか?
そうだ!結婚すればいいんだ!!

結婚するにはどうしたら...?
そうだ!たしか指輪をプレゼントすれば結婚できるみたいだゾ。
指輪は神社の縁日の夜店で売っているから、それをプレゼントすれば良いし...photocom10-p1.jpg
事は縁日に100円玉一つ握り締めて行けば...

@ 山蕗鉄砲
A 吹き矢
B 月光仮面Or鞍馬天狗のお面
C 怪しい色をした駄菓子
のフルコ−スを手に入れる事が出来ました。
所が絵里奈ちゃんにプレゼントするルビ−の指輪は、たった1個で男子フルコ−ス分の値段です。
自分が欲しいアイテムを我慢してルビ−の指輪を涙飲んでゲット。
次の日、想いを込めたルビ−の指輪を絵里奈ちゃんに渡して「僕と結婚しようヨ」と、言ったところ...
彼女は首を立てに振りながらも「お母さんに聞いてみる...」
それから何日か過ぎると、僕の前に大勢のオバチャン達が寄って来て「絵里奈ちゃんと結婚するんだって!」「何処の式場で結婚するの?」
さすがに「赤ちゃんは何時?」とは言わないまでも毎日、毎日質問責め状態。
そうです(怒)
オバチャンたちは事もあろうに僕と絵里奈ちゃんの小さな恋の物語を酒の肴如く井戸端会議の茶のみ話にしていたのです。
数週間後の月曜日、先生から絵里奈ちゃんが昨日北海道に引越したとクラスの皆に話しました。
それから毎年夏になると絵里奈ちゃんから鈴蘭の栞が送られて来ました。
絵里奈ちゃん
お母さんは僕達の結婚に賛成だったのでしょうか?



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